「へぇー!」
思わず声が出た。
父の手のリハビリ。
父は今、
リフトで腕を吊り、
動かすリハビリをしている。
器具をつけて、腕をいい位置まで上げる。
今までは私たちがボタンを押していた。
「もう少し下。」
「痛い。」
高さ調整が、なかなか忙しい。
腕を吊っている間は、
YouTubeも自分で変えられない。
「ずっとやってたから、腕が痛い。」
なんて言ったりする。
でも今日。
「リフトにリモコンぶら下げといて」
って父。
腕を上げる器具をつけたまま
ぶら下がって、ゆらゆら揺れるスイッチを、
父が自分で手繰り寄せた。
両手で挟むように持って、
ボタンを押す。
上げたり。
下げたり。
「えっ、自分で押してる!」
なんだ、それ。
すごいじゃん。
ボタンを押せるようになるって、
ただボタンを押せるようになるだけじゃない。
「自分でできること」が、
また一つ増える。
一つの「できた」が、
次の「できた」を連れてくる。
YouTubeを変えたくなったら、
自分でリフトを下げる。
動画を変えて、
また腕を上げる。
疲れたら、
また自分で下げる。
父、自由。
父のストレスも減る。
私のストレスも減る。
私の出番も、
また一つ減った。
リハビリって、
こういうことなんだなと思う。
これからは、
私は父の腕を吊るして、
あとは、放置。
自立って、最高だ。

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