車いすで家を過ごす。
家を建て直したばかりだったM田家。
母のこだわりの家。
床だって、すごく調べて
考えて選んでいた。
フローリングじゃなくて
こだわりのクッションフロア?らしい。
なので、硬いものを落としたりすると
小さな傷がつく。
父の部屋までは、
玄関から廊下を通ってすぐ。
リビングにだって来るよね。
「車いす通ったら、絶対、傷つくよね。」
そう言う私に、
母はものすごく嫌そうな顔をした。
それでも父は帰ってくる。
母はしぶしぶ受け入れた。
結局、
玄関から父の部屋まで。
父の部屋からリビングまで。
車いすが通る場所には、
全部マットを敷いた。
我が家が実際に買ったマットはこちら
マットは粘着テープ付き。
正直、
「剥がした時にノリ残るんじゃない?」
って心配だったけど、
うちは大丈夫だった。
おかげで、車いすが通っても
子どもたちが走り回っても、
ずれなくていい。
母は最後まで心底嫌そうだった。
さらに、
汚れ対策でタイヤカバーも購入。
外から帰るたびに、
タイヤも拭いていた。
最初の数か月は。
そのうち、
「まぁ、いっか。」
タイヤカバーは使わなくなり、
タイヤも拭かなくなり、
気づけば家中をそのまま走行。
そういえば最近、
床がなんだか汚れている。
書きながら気づいた。
車椅子の跡より、
第二子がこぼした麦茶。
第三子のミルクの吐き戻し。
そっちの方がよっぽど汚れている。
マットだから、
汚れがしみこむのが残念なところ。
でも、
色味が選べるのはよかった。
そろそろ寿命かな。
父が帰ってくる前は、
車椅子で家が傷むことばかり心配していた。
でも実際に傷めているのは、
車椅子より子どもたちかもしれない。
犯人、たぶん父じゃない。
むしろ別の小さな住人たちだ。
母の理想の家。
おしゃれなリビング。
なのに今は、
カラフルなおもちゃだらけ。
なんなら、
トランポリンまで置いてある。
母、本当にすみません。
車椅子の傷を心配していたけど、
一番家を酷使しているのは孫たちだった。
あと数年。
きっと落ち着く。
たぶん。
いや、
母はそう信じて待っていてください。

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