今日、父のリハビリを見に行った。
ちょうど時間が空いていて、
久しぶりにゆっくり見ることができた。
先日のケア会議で、父が言った。
「車いすを自走したい。」
その一言から、
今日から新しいリハビリが始まった。
ベッドの端に腰掛け、
足を床につけて座る練習。
「俺、デイケアでもやってるわ。」
えっ。
知らなかったんですけど。
「デイケアで、車いすに乗る前、この格好でいるわ。」
「えっ。毎回?」
「そういうこと、教えてもらっていいですか?」
「できること、小出しにしていくタイプですよね。」
「また、やらされちゃうから。」
リハビリの先生が笑う。
父も笑う。
いやいや。
そんな大事なこと、小出しにしないでよ。
以前、後ろに倒れたことがあるらしく、
身体は少し前かがみ。
「怖いんだよ」って
何回も言う。
分かったって。
もう聞いたって。
前にも後ろにも、人立ってますって。
座るだけ。
でも、それだけですごく疲れるらしい。
左足は、少し動く程度だし
右足は、ほとんど力が入らないし、感覚も少しだけ。
お尻には力が入らないらしい。
腹筋がもう少し使えれば、
もっと安定するよ。とリハビリの先生。
父が以前、言った。
「誰も俺の気持ちなんて分からない。」
その通りだと思う。
私には、
一生分からない。
分かったふりも、
したくない。
愚痴を聞くことも、
あまりしていない。
私はただ、
父の逞しさを信じて、
「頑張れ。」
そう言い続けている。
本当は、
頑張りたくない日もあるのかもしれない。
それでも父は、20分ほど、
ベッドに座り続けた。
頑張るのは父。
一心同体になんて、ならない。
心の距離は、
ちゃんと取っている。
でも。
頑張っている父を、
私は誇らしく思う。
だから、
小さな「できた」を見つけたら、
全力で喜びたい。
今日の「座れた」も、
その一つだった。
その話を長男にした。
「俺と散歩に行きたいんでしょ。
でも、一緒に歩くの恥ずいじゃん。」
「恥ずかしくないよ。」
父が車いすをこいで。
その横を長男が歩く。
第二子は父の膝の上。
その頃には、
第三子が膝に乗っているかもしれない。
そんな景色を想像した。
「それって、うちにとっては奇跡だよ。」
そう言うと、
「そうかもね。」
と長男が笑った。
そんな日が来るかもしれない。
来ないかもしれない。
でも、
家族みんなで、
「そうなれたらいいね。」
そう願える。
今日の20分は、
ただ座っていただけじゃない。
いつか来るかもしれない、
家族みんなでの散歩に。
少し近づいた20分だった。
そう思えた。
だから今は、
この毎日が、
たまらなく愛おしい。

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