父が帰ってくる。
困ることは?
父の担当の看護師さんがいろいろ気を回してくれた。
ちなみに、父、担当の看護師さん大好き。
Kちゃんって呼んでる。
「Kちゃんが、○○終わるから、持ってきてって」
「Kちゃんが、夜勤でさ~」
面会のたび、Kちゃんの話。
面会に行くと、いる日は必ず病室に顔を出してくれて
安心感が半端ない。
バリバリな感じじゃなくて、穏やかで優しく笑う感じ。
ゆったりした空気が流れてて
それがいい。
父が退院してから、Kちゃんが父の事例研究をしてくれた。
Kちゃんの記憶に、父が残っていてくれて嬉しかった。
もう、父の子どもになってくれてないかな。
まぁ、本人が嫌だと思うけどさ。
私たちが父のお世話を困らないように
家でやることを、書き出してくれた。
ありがたいことに。
……いや。
悲しいことに。
私、看護師。
退院指導は、そんなにいらなかった。
浣腸。
オムツ交換。
体位変換。
死ぬほどやってきた。
ブランクはあったけど、
体が覚えている。
「病院では、こうしてましたよ。」
「じゃぁ、大丈夫そうです。多分できます」
介護する娘としては、
なんとも複雑だけど。
私ができる。
でも、私しかできない。
それじゃ、家に帰ってから困る。
父を介護するのは、
私ひとりじゃない。
母もいる。
家族もいる。
でも、みんな介護の素人。
私がいない時、
どうする?
私が仕事に戻ったら?
私が子どものことで手が離せなかったら?
「看護師だから大丈夫」
じゃない。
私がいなくても、父のお世話ができるようにしないといけない。
「できるけど、任せられるものは、任せましょう」
先を見越していたんだろう、ケアマネさん。
やりすぎないように、気を使ってくれていた。
でも、一つだけ。
病院で実際に1度練習した。
車椅子からベッドへの移乗。
父は自分で立てない。
でかいし、重い。
抱えて移すこともできない。
そこで使うのが、移動用リフト。
リハビリの先生に教えてもらう。
「こうやってシートを入れて……」
病院で練習。
そして、福祉用具の人にも、
家にリフトを入れたタイミングで
もう一度教えてもらう。
「大丈夫そうですね」
おしまい。
……いや。
あとは、やって慣れていくだけだけど。
これで本当に、
父を家に帰して大丈夫なの?
看護師だから、
できることは多かった。
でも、
「家で父と暮らす」のは、
病院で患者さんのお世話をするのとは違う。
介護の仕方を知っているのと
介護をしながら生活するのは、全然違った。
それが分かるのは、
父が帰ってきてからだった。
まぁ、退院指導は終わり。

コメント