介護と子育てに奮闘する管理人です。
頸髄損傷の父との暮らしや、家族の介護のリアルを発信しています。
同じ悩みを持つ方の力になれたらうれしいです。

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外泊2日目、初詣へ。父初めて車椅子で道路を走る。

M田家の日常

外泊2日目
今日も父が家にいる。

毎年、お正月に近所の神社にお参りに行っていた。
徒歩10分くらい。
長男が小さい時は、三輪車に乗せて。
長男が大きくなったら、柴犬も連れて。
二日酔いの父にイライラしながら、
それでも、たたき起こして家族みんなで行っていた。

いろいろあったけど、今年も神社に行こうって

……とはいっても、簡単じゃない。

今年の父は、車椅子。
ベッドから、リフトを使って車椅子に乗せるのも
慣れていないM田家には、難解。
母、私、夫の3人がかり。

移動用リフトって、リフトの足をベッドに入れるときは閉じたり
車椅子に入れるときは開けたり
父の体にリフトのシートを差し込んだり
手間が多い。
「病院では、リハビリの先生1人で車椅子に移動させる」って父。
うん、黙って。
それか、痩せてから言って。
横には、ハイハイの第二子が、
「抱っこー」
って泣いてくる。

玄関のスロープの坂も、車椅子が重くて大変。
なんせ、
父80㎏。
ハイバックの車椅子10㎏くらい。

外は寒くて、
病院で大事に扱われていた父は
「寒いなー」
って嬉しそうだった。
ひざ掛けも、ダウンも来て、
誰よりも厚着なのに。

外に出るって
近所の目もあるから、父気にするかな?って
ちょっと気になった。
でも、
母も父も、おまかいなし。
わいわい話をして
近所の家にも、
「ついでに」って顔を出していた。

家の前の景色も、
道路も、
神社までの道も。

病院では見られなかった景色。
ずっと同じ景色を見てきた父。
あっちこっち、見ていた。

病院の中では、
どこまでも平らだった。

でも外に出たら、
道路ってこんなにデコボコだったんだと思った。

ちょっとした段差も
道のぼこぼこ。

そのたびに、

「揺れた!落ちる!」

と、うるさい。
いや、分かってる。
少しでも重心が前かがみになると怖いの。
座っている姿勢が不安定になるもんね。

でも、
あなた、どっしり車椅子に座ってますやん。

「落ちない、気のせい」

揺れるよ。車椅子だもの。

こっちも、重い車椅子交代で押してるの。
必死なんだよ。
なんなら、
抱っこ紐に第二子いますやん。

うるさいけど

疲れたけど
外の空気を存分に吸った父は、
少しうれしそうだった。

父が突然、頚髄損傷になった7か月前。
まだお座りもできない第二子を連れて、
何度も、この神社に来た。
「少しでも良くなりますように」

「どうか助かりますように」

あの頃の私は、
お願いすることしかできなかった。

父がどうなるのかも分からない。
何をしたらいいのかも分からない。

ただ、神様にお願いするしかなかった。
すがるもの、があってよかったと思う。

それから時間が経って。

父は車椅子になった。
手も自由には動かない。

自分で歩くこともできない。

できなくなったことは、たくさんある。

でも。

今は、できることも山のようにある。

そして、私は

やらなきゃいけないことが、たくさんある。

車椅子を押す。

リフトで移す。

段差を越える。

尿バッグを確認する。

食事を手伝う。

そして、

「揺れた!」

って文句を言う父の相手をする。

でも、父は生きている。

しかも、

相変わらず強気。

あの頃、神社でお願いするしかなかった父が、

今は、

「もっと上!」

「違う!」

「揺れた!」

と、文句を言っている。

……。

元気になったじゃん。

「父、帰ってきました。性格は変わらずに。
 
ありがとうございます。
と、神様にご挨拶できた。

でも、

外泊はまだ終わらない。

翌日は、

親戚が家にやってきた。

そして私は、

もう、父にお腹いっぱいになっていた。

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