リハビリ病院の面会は1日1回、14時から1時間。
家族以外の大人も面会できるようになり、
父は今まで会えなかった友人や仕事関係の人たちと
次々に約束を入れ始めた。
さすが、元営業マン。
家族の入る隙間がないくらい。
急性期病院では、家族以外、誰にも会えない日が続いていたから、
その変化がうれしかった。
一方で、私は父に会いに行く回数が減った。
リハビリ病院は、家から車で片道1時間弱。
まだ小さかった第二子を預けて、頻繁に通える距離ではなかった。
転院するまでは、
「困っていることはないかな」
「何か、必要なものはあるかな」
と気になっていた。
体の状態も落ち着き、急性期病院よりリハビリの時間も長くなった。
「これなら大丈夫。」
父が安心してリハビリに集中できる環境を整えられた。
そんな安心感もあった。
担当のPT・OTがいて、平日は午前も午後もリハビリ。
頸や肩の痛み、しびれに合わせて、午前はPTで体を動かし、可動域を広げる訓練。
午後はOTが病室に来て、生活動作の練習をしていた。
「急性期病院とは全然違う。
来てよかった。」
父もそう話していた。
「ここなら任せられる。」
そう思えたことで、少しだけ肩の力が抜けた。
父の面会時間に合わせて、
「子どもはどうする?」
「長男のお迎えは誰が行く?」
「病院からそのまま迎えに行けるかな。」
そんなことばかり考えていた毎日。
リハビリ病院へ転院してからは、その慌ただしさが少し落ち着いた。
父のことを四六時中気にしなくてもいい時間が戻り、家族も少しだけ日常を取り戻せた。
「父がけがをしなかったら、こんな生活だったんだね。」
「まぁ、もうすぐ帰ってくるけどね。」
「……本当に帰ってくるんだよね。」
母と、そんな会話を何度もした。
退院は決まっている。
きっと、こんなにのんびり過ごせなくなる。
でも、何が大変になるのか。
分からないからこそ、漠然とした不安。
父が家に帰ってくる未来を、家族みんながまだ想像できずにいた。
その答えを、少しずつ形にしていくために始まったのが、毎月の退院カンファレンスだった。

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