急性期病院から、リハビリ病院に転院した。
担当の医師と看護師さんと今までの話と
リハビリ病院での生活の流れなど
説明を受けた。
その後、一足先に病室にいった父と面会をした。
急性期病院とは、まるで別世界だった。
病室は一つひとつが広く、
廊下も広い。
洗面台も大きく、車いす用になっていた。
急性期病院では、ひっきりなしに鳴っていたナースコール。
ここでは、その音もほとんど聞こえない。
慌ただしく走り回るスタッフの姿も少なく、
時間がゆっくり流れているように感じた。
「リハビリ病院って、こんな雰囲気なんだ。」
少しだけ、ほっとしたのを覚えている。
病室にいた父は
「手は開く?」
「全然、動かない。」
「じゃあ、手で叩ける?」
「それならできる。」
「じゃあ、このナースコールにしましょう。」
叩いて押せるナースコールが設置された。
あっという間だった。
細かな説明しなくても、父の周りが整えられていった。
さすが、リハビリ病院だなと思った。
荷物を運び込み、一つずつ生活の準備を始めた。
毎日着替えるわけではないので、洋服はレンタルせず、前開きのシャツやジャージを持ち込むことにした。
父は尿の管(尿道カテーテル)が入っていたので、おむつ交換も少ない。
「持って行けば、その分節約できるよね。」
おむつも持参した。
売店で「尿バッグを入れる袋を買ってきてください」と言われた。
「そんなものが必要なの?」
最初は、プライバシーのためだと思っていた。
でも実際は違った。
車椅子からベッドへ移るときは、首から掛けることで尿バッグが床に落ちない。
外出するときも、そのまま見えてしまうより気兼ねなく過ごせる。
今では、在宅介護には欠かせない物の一つだと感じている。
治療をする場所から、生活を取り戻す場所へ。
父の本格的なリハビリが始まった。
そして、父だけじゃない。
家族が在宅介護に向けて準備を始める場所でもあった。
あのときは、まだその大変さを何も知らなかった。

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